東城大学病院

□My Sweet Lair
2ページ/3ページ

いつになく積極的な田口に、桐生は戸惑いながらも昂る熱を抑えられずにいた。
とても愛しそうに、触れてくる指が少し冷たくて、それが何だか生々しく、肌を重ねる行為を意識させる。
不器用に自分のシャツのボタンを外す姿が可愛くて可愛くて、我慢出来なくて抱き締めた。
「っ…桐生先生?」
「折角、積極的になってくれたのにすみません」
「え?…ッ!…あっ」
不意討ちで弱点である耳に唇を押しあてられて、田口の身体が小さく跳ねる。
桐生の手が器用に田口のシャツのボタンを外して侵入し、火照り始めていた素肌に触れる。
「…心拍数が高い。いつもより、興奮していますか?」
頬を紅潮させて反論しようとしたその唇をキスで塞いで、尖った乳首に甘く爪を立てた。
「ッ!…んぅ…ハァッ、きりゅ、せんせ、…意地悪ですね…」
微かに涙の滲んだ目が、恥ずかしそうに睨む。
「ごめんなさい、でもこんなに可愛い反応をされたら、きっとまた虐めたくなります」
耳を食むように囁くと、それだけで田口は身体を震わせて桐生にしがみつく。
抱き返して、そのままゆっくりと押し倒して身を重ねた。
されるがままになっていた田口は、はっと何かを思い出したように、桐生の胸を押し返した。
「駄目です、桐生先生」
突然の拒絶に、桐生は戸惑う。
「駄目、ですか」
「あ、違うんです。駄目じゃないです。そうじゃなくて、その」
慌てて言葉を紡ぐ田口を桐生は不可解な思いで、しかし同時にその慌てぶりすら可愛いと思いながら見守る。
「今日は私が、先生を…、その、…気持良く、させてあげたいんです」
後半は殆ど消え入りそうな声で、目を伏せながらの言葉だった。



静かな部屋に、二人の呼吸が淫靡に響く。
桐生は未だ信じられない思いで眼前の光景を見詰めていた。
そこでは田口が、息苦しそうに浅く呼吸をしながら、桐生の張りつめた男根を口に含んで、懸命に愛撫を施していた。
熱い呼気が下腹部を掠め、柔らかい舌が己の性器を丁寧に舐め上げる。先端を尖らせた舌で擽ったかと思うと、喉まで侵す程深くくわえ込む。
何処でそんな技術を身に付けたのかと問い質したい嫉妬心も湧いたが、懸命に桐生に快楽を与えようとする顔を見れば、そんな嫉妬もどうでも良い程愛しさで満たされる。
「…田口先生、もういいですから」
「気持良く、無かったですか?」
見上げた目と唇が濡れていた。田口の指が触れたままの分身がまた硬度を増した気がして、気恥ずかしい。
「いえ、良かったですよ。物凄く。でもやっぱり」
「え…!?」
少し強引に田口を組強いて、スラックス越しにその熱を握り込んだ。
「ッああ!…ァ、せんせ」
「いい声。…そう、田口先生の感じる顔を見たいんです」
手早くスラックスと下着を脱がせて、直に性器に触れた。
「…私のを口でしながら、ここを硬くしていたんですか?」
「!…そんなこと、」
「そんなこと、無いですか?でも触ってもないのに随分硬くしていましたよ。…ほら、少し擦っただけでもう溢れてくる」
大きな温かい手が優しく上下する。
「あっ、んんゥ…!やあっ、せん、せ…ッ」
緩く単調な愛撫なのに、田口はビクビクと震えて桐生の肩にすがる。
手を動かし続けながら、桐生は田口の髪に顔を埋めてその薫りに酔った。
「田口先生は、こんな風にいやらしいことを言われると余計に感じるんですね。発見です」
「…意地悪…っ」
「あなたが可愛いからです。意地悪してしまいますが、嫌いにならないで下さいね」
そう言って、愛撫の手を奥へ進ませ、秘孔に指を這わせた。田口が息を詰めて、桐生にしがみつく手に力を込めた。
不意に顔を上げて、桐生を見る。
見つめ返すと、田口は濡れた瞳で真っ直ぐに桐生の目を見て、
「嫌いになんて…なれません。どんなことをされたとしても」
小さく途切れ途切れながらも、はっきりとそう言った。心を鷲掴みにされたように目の奥が光に眩んで、桐生は衝動のままに田口をかき抱いて深く熱く唇を貪った。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ