京極・巷説の部屋

□拍手文〈クリスマス編〉
1ページ/1ページ

「めりいくりすます!京極!!」
いつもながらに派手な登場をした榎木津が開口一番そう叫んだ。
「…榎さん、前にも言ったことが有るかもしれないが、うちは神社で僕は神主なんだよ」
「知っているぞ!しかし神道は神様がたくさんいる心の広い宗教だ。外国の神の一人くらい受け入れてやってもいい」
「こっちが良くても向こうが良くないだろう。キリスト教は一神教なんだから」
「そんなことはどうでもいいんだ!クリスマスというのはケーキを食べる日なのだ!お前、甘い物が好きだろう」
「ええ、まあ」
「よし!食べるぞ!」
勝手に台所を使って切り分けたケーキを中禅寺の前に置く。持参したフォークで一掬いとり、
「あーん」
と中禅寺の口の前に差し出した。
口を開けない中禅寺に
「これがクリスマスケーキの食べ方の正しい作法だぞ」
と言う。
「嘘ばかり」
苦笑いしながらも中禅寺は仕方なしに口を開けた。榎木津は嬉しそうにケーキを差し入れる。予想以上の美味しさに、中禅寺が驚いた目で榎木津を見た。榎木津は誇らしげな顔をした。そして、二口目を差し出す。
その笑顔がいつも以上に美しく見えて、中禅寺は照れくささに目を閉じて口を開けた。

end.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ