過去拍手文

□2011バレンタイン、速水と田口。
1ページ/1ページ

*学生速水×田口*


「田口くん、これ…」
なんて、可愛い女の子に頬を赤らめながら言われると、いくら俺でも一瞬期待しそうになる。しかし、経験上知っているのだ、続く言葉を。
「速水くんに、渡してくれない?」
ほらやっぱり。今日で何度目だろう。既に“速水専用チョコ預り紙袋”を下げていた俺は、快く了承して、彼女のチョコを紙袋に入れた。


講義室で速水を見つけ、すかさず紙袋を突き付けた。
「大漁だ」
「よかったな」
「分かってて言ってるだろ。お前宛だよ」
「こういうの、人伝に渡す精神がわからん。大事なもんなら自分で渡すだろうから、行灯なんかに託すってことは義理チョコってことか?」
「何でもいいから受け取れ。意外と重いんだ」
「想いは軽いだろう。行灯なんかに託して、階段でこけてぶちまけられても構わない程度の想いだ」
「えらく突っ掛かるな、何だよ」
「………少しくらい、妬けよ」
口を尖らせて言った速水が酷く可愛らしくて、俺は吹き出した。
「この中に密かに行灯からのチョコが交ざってたり…」
「しない」
「じゃあいらねえ」
「速水〜…」
じゃれ合う俺達を、女子達が複雑な顔で見ていた。

end.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ