復活書架

□バイバイマイスイートハニー。
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※雲雀32歳、ディーノ39歳、山本31歳


イタリアに、雲雀と山本が共有の別宅を構えてから三年が経った。アメリカで野球をしながらシーズンオフには時折イタリアでボンゴレの仕事も受ける山本と、調査の為にイタリアを中心に世界中を飛び回る雲雀は、なかなか会えない。会える時くらい、二人きりでゆっくり過ごしたい、という山本の希望で購入した一軒家だ。雲雀の好みに合わせて和風テイストを取り入れた邸宅で、そう大きくはないが庭もある。綱吉が「ご結婚おめでとうございます」と言って雲雀に睨まれたが、実質結婚のようなものだと雲雀も自覚していた。

山本は料理の下拵えを済ませて一息ついた。もうそろそろ、雲雀が帰って来る頃だ。1ヶ月半ぶりの再開に、顔がにやけてしまう。何か連絡が入っていないかと、鞄に入れていた携帯を開くと、雲雀ではなく綱吉から着信が残っていた。
「ツナ?」
かけ直してみると、すぐに繋がった。
「おー、俺。どした?」
「山本。ヒバリさん、今そこに居る?」
「いや、居ねえよ。そろそろ帰って来る頃だけど」
「そう…」
「ヒバリがどうかしたのか?」
「いや、ヒバリさんがっていうか…。山本、落ち着いて聞いてね」
「ああ」
「ディーノさんが、失踪した」
緊張を孕んだ綱吉の声に、山本の緊張も高まる。
「え…」
「先週、まだ11歳の子どもを半ば強引に11代目に就任させたんだ。で、今朝、ディーノさんの姿が消えてて、奥さんと息子さん宛に、離婚届けと、『ごめん、俺は死んだと思ってくれ。幸せを祈る』っていう内容の置き手紙、それからロマーリオさん宛に事務的な指示が残されてた。キャバッローネ総動員で探したけど見付からなくて、さっき俺に連絡が入った」
「なんで…」
「これは俺の憶測で、根拠はないんだけど…ディーノさん、ヒバリさんに会いに行くと思う」
「…………」
「キャバッローネのボスっていう立場から解放されて、ただの一人の男になって、ヒバリさんを連れ去るつもりなんじゃないかって…」
「…んだよそれ。今更、何だよ!ヒバリは、すげー好きだったあの人を頑張って諦めて、やっと俺の隣で笑うようになったのに、今更、…ボスとか知るかよ!…譲らねえよ、絶対、ヒバリは、今は、俺のだ…」
「山本、落ち着いて」
「…わりい、ツナ」
「うん、大丈夫。山本、大丈夫だから。…ヒバリさんには、伏せておいた方がいいかもね」
「…ああ、少なくとも、俺は言わねえ」
「うん」
何かあったら連絡して、と言い残して、綱吉は電話を切った。
同時に、玄関を開ける音がして、山本は必死に気持を切り替えて迎えに出た。
「ヒバリ、おかえり!」
「ただいま。…何か、あった?」
「ん?何もねえよ。ヒバリ腹減ってるだろ、すぐ準備するからなー」
「…うん」
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