復活書架

□天使の誕生日。
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※雲雀25山本24ディーノ32ディーノJr.4歳。

「テメー、アポ無しのくせにズカズカ入って来てんじゃねえよ!」
イタリアのボンゴレ本部。ボスを訪ねて来た雲雀は、ボス右腕の喧しい声を完全に無視して執務室の扉を叩いた。
「こら、勝手に開けんな!」
「うるさい。沢田、久しぶり」
「雲雀さん!」
「十代目、すみません!アポ無し野郎通しちまって…」
「いいよ、大丈夫だよ、獄寺くん。…悪いけど、ちょっと外してくれないかな?」
「…大丈夫ですか?こんな物騒なヤローと二人で…」
君が居た方がより物騒なんだけど、と内心で苦笑いしながら
「大丈夫だから」
と微笑むと、右腕は最敬礼せんばかりの勢いで
「はい!」
と答えて部屋を出て行った。
「相変わらずだね、君達は」
そう言う雲雀の方は、知り合った頃に比べて随分変わった。
孤高の浮き雲という位置は変わらないが、他者に対して無闇矢鱈に攻撃する棘は丸くなって、口の端に浮かぶ笑みは柔らかいものになってきた。
「雲雀さんもお変わりなく…。山本からたまに近況は聞いてますけど」
概ね、ノロケだ。そうでなければ忙しくてなかなか会ってくれない雲雀への愚痴。
「余計なこと言ってなきゃ良いけど」
「それで、今日はどうされたんですか?」
世間話をしに綱吉に会いに来る雲雀でないことは百も承知だ。
「…キャバッローネの子どもの写真、君なら持ってるかと思って」
どこかで予想していたのかもしれない。綱吉は驚くこともなく、
「ええ、持ってます。九代目が先日遊びに行ったとかで、自慢気にメールに添付して送って来ましたよ。…欲しいですか?」
「要らない。ただ、見てみたいだけ」
写真を見るためにわざわざここに?
その言葉を飲み込んで、綱吉は机上のパソコンを立ち上げた。
「ディーノさんに良く似た、綺麗な顔立ちの男の子です。もうすぐ5歳になるのかな。…はい、どうぞ」
画面を雲雀の方に向けた。

見知った好好爺の隣で向日葵のような笑顔を見せている少年。屈託なく、この世の全ての愛を注がれた天使のような明るさに、雲雀は目を細めた。
そして、更にその隣に立つ、美しい男。
三十を越えているようには見えない若々しく煌めく姿が、少年よりも眩しくて直視出来ない。

「…ありがとう、もう良いよ」
軽く瞼を伏せてそう言った雲雀に、綱吉が心配そうな目を向ける。
「雲雀さん…」
だが、続く言葉を口に出来ず、目を伏せる。

まだディーノさんのこと忘れられないんですね

言ったところでどうにもならず、更にその発言は親友である山本に対して失礼である気がした。

「もう一つ、頼みがあるんだけど」

躊躇いがちな声に、綱吉は顔を上げた。
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