復活書架

□バイバイマイスイートダーリン。
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「ツナ?…ヒバリの連絡先とか知ってたら教えてくんね?」
山本からの突然の電話に、綱吉は戸惑った様子だった。
「山本…なんで、今…」
「あ、ちょっと偶然見かけたからさ、気になっちゃって」
「そう、なんだ…びっくりした」
「ツナ?」
「丁度今、山本に電話しようとしてたんだ」
「おう、すげー偶然な。何か用だった?」
「うん、あの…来月イタリアに行くんだけど…山本も招待されてて…えっと、でも無理にとは言わないんだ、獄寺くんは俺が行くから付いて来るみたいだけど気が乗らないみたいだし、正直俺も微妙だし…」
要領を得ないツナの話に、
「ん?俺イタリアに招待されてんの?ツナと獄寺行くなら行きてーな、楽しそう」
中学時代に訪れたイタリアを思い出して山本は気楽そうに言った。
「でも招待って?何かあんのか?」
「うん…あのね、…キャバッローネファミリー十代目の結婚式なんだ」
キャバッローネ、という響きに山本は固まった。
「それって」
「うん。ディーノさん、結婚するんだ」
「えっと、…ヒバリと?」
「……山本、それ、俺と全く同じリアクション」
ツナは少しだけ笑った。哀しい笑い声だった。
「同盟ファミリーのボスの娘さんと。…あのふたり、この前別れたんだって」


「恭さん…」
屋敷の居間はもぬけの殻だった。
草壁は卓袱台に熱い緑茶を置いて、流麗な文字の書き置きを読んだ。
「見廻りしてくる。二時間くらいで戻ると思う。心配いらない」
主の気まぐれはいつものことだが、草壁の淹れる茶が好きな彼が茶の入るのも待たずに出ていくとは珍しい。
美しい文字に触れながら、草壁は先日キャバッローネファミリーのアジトで起きたことを思い返した。


雲雀と草壁が訪れた時に、ディーノは留守にしていた。珍しく主と離れてアジトに残っていたロマーリオから、すぐに帰ってくるから待ってろと言われて草壁は応接間に入った。雲雀は「あの人が来いと言ったのに居ないなんて」などと文句を言いながら、勝手知ったる恋人の家というわけか、ディーノのプライベートスペースであるフロアに進んだ。キャバッローネの者もそれを咎めたりしない。
応接間で草壁とロマーリオは二人、気心の知れたもの同士で珈琲を呑みながらディーノの帰宅を待った。
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