魔人探偵

□旧拍手F
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「メリークリスマス!!」
朝一のお出迎えに、クラッカーを鳴らされて、ざわめく周囲と対照的に笹塚は冷めた表情で
「つまみ出せ」
と手近にいた若い刑事に命じた。
ワーワー騒ぎながらサンタクロースがつまみ出されて一分後。
「酷いっすよ先輩!ちょっとクリスマス気分を演出しようとしただけなのに!」
サンタ服からいつものスーツに着替えた石垣が泣きながら食い付いて来た。
「署内で不用意に火薬を爆発させるな」
冷静な注意を受けて、石垣は項垂れる。叱られた子犬が耳を寝かせて落ち込んでるような姿だ。
「クリスマス気分を味わいたいなら、仕事が終わってからにしろ」
「だって、仕事の間しか先輩居ないじゃないですか!先輩が今夜俺に付き合ってくれるって言うなら超頑張って仕事しますけど」
「…別に、いいけど?」
「……今、何と?」
「別に、いいけど」
そのまま繰り返された言葉に石垣の顔が戸惑いから驚き、そして喜びへと変化する。
「あーざっす!!」

そしてその一日、超頑張って仕事した石垣のかき回した後の処理に追われて、笹塚は溜め息を吐いたのだった。

end.

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