魔人探偵

□旧拍手D
1ページ/1ページ

「では我輩は弥子を連れて城の舞踏会に行ってくるからな。吾代、しっかり留守番しておけよ」
「ごめんね吾代さん、おむすび二つ置いとくから……やっぱり、一つ食べていい?」
「畜生ー!」
ある所に、一人の可哀想な男がおりました。彼は継母と姉にいつも虐げられていました。
ピンポーン。
「ああ?誰だこんな時間に」
やって来たのは、魔法使いの笹塚。
「…あれ?シンデレラって弥子ちゃんじゃねーの?」
あからさまにやる気無さげに笹塚は言いました。
「…テメーこそ、王子じゃねーのかよ」
「王子は望月さん」
「げっ」
「じゃ、とりあえず馬車とか出すから、カボチャとネズミ出して」
「事務的だなオイ。…てか、別に城行きたくねーし。それより」
吾代は笹塚の手首を掴んで引寄せました。バランスを崩した笹塚を抱き止めて、
「留守番、付き合えよ」
と耳元で言いました。
「…別に、いーけど」
笹塚がそう言って体重を預けると、吾代は目を細めて抱く腕に力を籠めました。

その頃、お城では弥子が王子に大層気に入られて悲鳴を上げていましたとさ。

end.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ