魔人探偵

□旧拍手C
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「桂木と付き合うことになったんだ」
警察署の食堂も賑わう昼食時。俺が放った爆弾に、笹塚さんは箸を止めた。
「…そう」
感情が読み取れない声。
「前から可愛いと思ってたら、向こうから告って来てさ。ハイ喜んでーみたいな」
笹塚さんは何も言わず、食事を続けている。
「…祝ってくれないの?笹塚さん」
笹塚さんは相変わらずの無表情で、俺を見た。
「…大丈夫だと思うけど、傷付けるような事、すんなよ」
その眼差しがとても真摯で、優しくて。俺は息を飲んだ。
「…ごめん、笹塚さん」
「何が?」
「嘘」
「嘘?」
「エイプリルフール」
「ああ」
おそるおそる見ると、笹塚さんは何処かほっとした顔をしていた。
「…怒ってない?」
「それくらいで怒らねーよ。…そっか、エイプリルフールか」
そんなんあったなあ、と小言で呟く。
「正直騙せるとは思ってなかったんだけど。疑わなかった?」
「似合うかもと思って」
「…そっかあ…ありえねーと思うけど。桂木、多分ネウロのこと好きだし、俺が好きなのは笹塚さんだし」
二つ目の爆弾。
「…それも、エイプリルフールだろ」
不発に終わってしまった。俺は答えずに目を伏せて、笑った。

end.

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