魔人探偵

□旧拍手B
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「先輩!今日、何の日でしょう!?」
出勤するなり笹塚のデスクに駆けて来て、目を輝かせながら石垣が訊く。
「朝から捜査会議の有った日。お前は忘れてたみたいだけど」
「え゛!?マジすか!?…すみません」
予想以上のカウンターに流石にしおらしくなった石垣に、笹塚は
「あと、ホワイトデー」
と言ってコンビニの袋を差し出した。
「何かホワイトデー用のモン色々売ってたけど、お前こーゆーのが好きなんだろ」
石垣の食玩好きは毎日目の当たりにしている。
「せ…先輩…!!」
「よく分かんないから、外してたら悪…え、お前泣いてんの?」
周りの刑事がざわつきながら注目している。石垣は構わず盛大に泣き出して、
「嬉しいです!先輩が、俺の為に、コンビニで食玩を…!」
食玩を取り出し、
「このカピバラさんに衛士と名付けて常に持ち歩きます」
その似合わなさに、捜査一課が戦慄した。
笹塚の沈黙に、周囲は次に出るのはローキックか裏拳かとヒヤヒヤしながら見守っていたが…笹塚は溜め息を一つ吐いて
「好きにすれば?」
と答えた。


たまには、甘やかしてみるか。
笹塚のホワイトデーは、そんな気分の日だったから。

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