魔人探偵

□旧拍手A
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聞き込み途中に寄ったコンビニで、笹塚先輩はその棚の前で足を止めた。
「先輩、チョコ食べたいんすか?」
はっ!それともまさか、誰かにあげる気か!?誰だ!?あのチンピラじゃないだろうな?それともあの胡散臭い助手!?いや、あのオールバックか?まさか、あのキャリアのメガネチビ…!?
「いや、今朝机の上にあったヤツ、弥子ちゃんにあげようかと思ってんだけど…」
「ええ!?」
そうだ、今朝の先輩の机の上は凄い有り様だった。『あった』なんてもんじゃない『盛ってあった』と言うのが的確な表現だ。流石先輩。…いや、今はそんな事より
「ダメですよ先輩!そんな、人が心を込めてあげた物を人に押し付けるなんて、くれた人が可哀想じゃ…」
必死で言葉を紡ぐ俺の目の前に、先輩があるものを突き付けた。それは…かなり精巧に先輩に似せて作ったチョコレート。当然、俺の手作りだ。
「これは俺が食う。…弥子ちゃんも、こんなんキモいだろうし」
「先輩、それが俺からだって、気付いて…」
「…こんなモン作る暇人、ウチにはお前しかいないんだけど」
多分それは辛辣な嫌味だったのだけど、俺はそんなこと全く気にならず、
「先輩!」
先輩に抱き付いて…いつもの様に殴り飛ばされた。

うん、幸せ。

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