story

□ほしとそらと
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夜。こっそり家を抜け出してきた俺たちは下り坂の小道をひたすら走っていた



「なぁ銀、宇宙のいきかたなんてわかってんの?お前にいける力なんてあんの?」

「だぁいじょうぶ。俺にまかせなっ!」

「まかせられるかっ!」



止まることない車輪の音を響かせながら、俺たちはギャーギャーと言い合っていた

俺にはどうしても理解出来ない

なんで、



「なんで宇宙いくっつったのに自転車だよ!?」



自転車の荷台に俺を乗せて銀時がこぐ。いわゆる二人乗り状態だ。


「まさか自転車でとべるとかおもってんじゃねーだろーな!!?」

「え、できないの?」

「銀んんんんッ!!!」

「じょーだんじょーだんっ。もうすぐつくからなー!」



…どこにだよ



銀のおかげで俺が受ける風の量は少ないけれど、それでも頬を触る夜風は冷たくて、銀の腰に回す腕に力が入った

疲れ知らずな銀が俺をのせて自転車をはしらせること十数分



「ほら、ついた!」



自分より大きい銀の背中からひょこっと顔を出すと、水同士がぶつかりあってザザーッと音を立て、深く続く水平線が見えた。つーかここ…




「…海じゃねェか」


目に飛び込んできたのはどこからどう見ても純然たる海そのものだった


「どーいうこどだよ?」


二人で自転車から降りて砂浜の汀までいってから、ちょっと呆れたように聞いてみた

すると銀は、それでも満足そうに振り返ってからいった



「果てしない海に星が映って、宇宙にいるみたいだろ?」



…やっぱバカだったのかコイツ



「もしかしてホントに宇宙に行けると思ってたの?晋助って結構天然なんだなー」


「うるせえッ!」


あーもう!こんなやつについてきた俺がバカだった…


「銀、とっとと帰るぞ!」

「え〜?せっかくだしちょっとあそんでこーよー」

「じゃあ一人でやってろ」

「わ、ごめんごめんっ!」



パタパタと走って晋助の後を追った



「…銀、」

「んっ?」



それでも



「ありがと」



晋助がそう呟いたのを俺は聞き落とさなくって


「…おう」


不器用で素直じゃない彼からそのような感謝の気持ちを聞けた悦びを噛み締めると、自然と頬が緩んだ



いつか、またここで




END
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