story

□11月3日。
1ページ/2ページ




「銀ちゃ〜ん」

「ん〜?」

「…今日何の日か分かってるアルカ?」

「あ〜分ってる分ってる」

「じゃー何かちょうだいヨー!!ギブミープレゼンツ!!」

「わけわかんねーこと言ってんじゃねーよっコレやるから散歩でも行ってきな」




机からチョコを取り出すと、ほれ、と神楽に投げ渡した。




「…私チョコ一個でおさまる女じゃないアルヨ」



はぁ、と溜め息をつく神楽。


「銀ちゃんからプレゼントを期待した私がバカだったアル…新八は何かくれるアルカ!?」



目をキラキラさせながら顔を向ける。



「じゃあ…はい、お通ちゃんのニューアルバム!!」


ニコニコしながら神楽に渡す。


「…こんなので喜ぶのは新八くらいアル…」



玄関に向かいガラッと戸を開け



「遊び行ってるアル」



そう言うとバンッと勢いよく戸を閉めた。












「…おい、出て行ったぞ」



神楽が戸を閉めるのを見送ってから銀時が言った。



「よし、じゃあ準備始めましょうか」


スッと立ち上がる



「でも大丈夫ですか?神楽ちゃんちょっと怒ってそうでしたけど…」




「大丈夫だって。帰ってきたら機嫌直るだろーし」



しかし不安な顔をする新八。


「そうですかね〜」

「ほれ、時間ないんだから早く始めっぞ!」












トボトボと外を歩く神楽。
ひどいアル銀ちゃんに新八…折角私の誕生日なのに、おめでとうもいってくれないなんて…
がっくりとうなだれていると



「あれ??どうしたんでェ?浮かない顔しちゃってー」



アイツが─…沖田が、心配そうな顔をして覗き込んできた。
いきなり目の前に現われ、びっくりした神楽はものすごい勢いで後ろに引き下がる。



「なっ、な何…?」

「あははっ、顔赤いぜィ」



笑いながら言う沖田。
指摘されたせいで余計顔が赤くなる。



「そういやさァ」



何やら手に持っていた袋をガサゴソと探りながら話だす。



「お前今日誕生日だろ?コレ、使わなくても受け取れやっ」



そう言って神楽の顔に押し付ける。



「ふががぁっ」



目の前にものを押しつけられ視界が真っ暗になった神楽は言葉にならない言葉を喋ったのであった。



「これは…?」



ようやく落ち着いた神楽は自分に押しつけられたものをゆっくりと見る
赤い…布?らしきものである。結構大きめ…というか縦に長い。突然のことで理解できてない神楽を見て沖田は口を開いた。



「マフラーでさァ」

「まふらー…?」



ポカンとして顔を傾げる神楽。



「マフラーも知らねえのか?首に巻くアレだよアレ。」



あぁ、と合点が合ったように頷く。



「え、え?これくれるアルカ?私に?」

「やるって言ってんだろーがァ。それと、誕生日おめでと」



笑顔で言う沖田。



おめでとう、その言葉を聞いた瞬間嬉しくて…うん、と首を縦に振った。
銀ちゃんも新八も言ってくれなかったことを…



「それにしても、よく今日だって知ってたアルナ?」

「べ、別にいいだろ」



そう言って何故か視線を逸らす。



「それより、お前さっき元気なかったろ、どうしたんだよ?」



う…嫌なことを思い出した神楽だったが、沖田に全て話した。









「ふーん、旦那達がねェ…」

「酷いと思わないアルカ!?2人とも…私のことどうでもいいと思ってるアル…」



再びがっくりとうなだれる神楽。



「そんなことねーよ」



ポンッと神楽の頭を撫でる。



「皆恥ずかしがってるだけでさァ家帰ったら絶対祝ってくれるって」

「…そうかなぁ」

「きっと今頃準備万端で待ってるころでさァほれ、さっさと行った行ったぁ」



沖田に背中を押されていやいやながら家の方に向かう神楽。



「ん〜…何でわかるアルカ?」

「ん〜…まぁ、男の勘ってやつでさァ」



何だそれ…わけが分からないが取り敢えず
「そっか。」と頷く。

途中まで神楽を見送ってから、手を振って沖田は別れた。神楽も、笑顔で手を振って別れた。
沖田は万事屋に向かって歩き出した神楽の背中を、



そろそろ俺の気持ちにも気付いてくんねーかなぁ
と、苦笑いしながら見守っていた。





.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ