story
□Target 3
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…とは思ったものの、やっぱり気になって、ちょっっとだけ部屋を確認してから寝ることにした。
はぁ、何してんだ俺、もし高杉が起きて見つかったら変態教師決定じゃねえか
でもまぁ自分の部屋なんだしオロオロする必要はない。何かあればタバコ取りにきたとかテキトーにこじつけとけばいいだろう。
そう思いながらもゆっくりとドアを開け、薄暗い明りをつけた。
ベッドに腰を掛け顔を覗きこんで見ると、高杉は整った寝息をたてて寝ているようだった。
自分のベッドで寝ていると思うと、変にドキドキする。
「…キレーな顔してんじゃん」
思わず見惚れそうになったところで我に返り、いかんいかんと立ち上がろうとした時
「…?」
服の端を、掴まれていた
「なっ…」
寝ぼけてんのか?
そのわりには握る手に力が籠ってるけど…
しょうがないな、と高杉と向き合うように座り、ゆっくりその手をはがそうとした瞬間
「わっ」
突然腕を強く引っ張られ、俺は高杉に覆い被さるようにベッドに倒れこんだ
すぐ横には、高杉の顔
「センセ、好き」
その時初めて、高杉と目が合った
「…は」
何を言ってるんだコイツは?
俺が、好き…?
部屋が薄暗いため高杉の表情はハッキリとは判らなかったが、多分コイツにしては珍しく、たくさんの不安と緊張感でいっぱいの顔をしていたと思う。
冗談なんかじゃない。大真面目だ。
まっすぐ、俺を見ている
一方の俺は、戸惑ったのはその一瞬だけで、すぐに安心感というか喜びが込み上がってきた。なぜなら
「…俺も」
高杉の頬に、優しくキス
すると高杉はにへっと笑い、強く俺を抱きしめた
多分コイツは、最初から俺の気持ちに気付いてたんだろうな。でなきゃ、こんな大胆な行動にはでない。
「お前さ、もしかして…」
「知ってたよ、センセの気持ち。すっげえ嬉しかった」
「…いつから?」
「わかってねェの?」
「すんません…」
「ふぅん…じゃあ俺も忘れた」
「え、ちょ、なんだよそれっ!!」
春。新しいクラスになって、初めて存在を知った。
「初めましてー。担任の坂田でーす」
そのやる気のない声を聞いてるとこっちまで萎えてくる。
しかし、ふわふわと揺れる銀髪を見ているのはなんだか楽しかった。
たまたま目が合った俺に、よろしく。といって笑った。なんだかそれがすごく嬉しくて。
先に好きになったのは、俺の方かもしれない。実際俺だっていつから好きになったか、なんてことは曖昧。授業をサボったのはちょっとでも気にかけてほしかったから。
そして今、漸くその幸せが手に入った。
「だいすき、センセ」
俺を抱きしめる腕はいつまでも優しく、温かかった。
END
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