11/14の日記

19:21
自己中
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坊に好きだと言われた。小さい頃からずっとずっと好きな人だったから嬉しくて。嬉しくて嬉しくて死んじゃいそうなくらい嬉しくて、今なら死んでもいいと思えるくらい幸せで。だから俺は緩んだ顔のまま。しまりのない口で笑って応えた。

「男とかホンマ御免やわ。堪忍、坊。諦めたって?」

その時の坊の顔と言ったら!
俺は坊にそんな表情をさせてしまったことが心苦しくて、それでも俺の為に(俺の所為で?)そこまで傷ついてくれた事が嬉しくて、やっぱり幸せだった。
他人には理解できないだろう。両想いだというのに、想い人を突き放して傷つけて。
けれど考えてもみてほしい。坊は座主血統の後継者、俺は気ままな五男坊。時代錯誤な“身分の差”というものがまかり通る御家の生まれで俺らが結ばれる確率は果てしなく低い。仮に結ばれたとて、周囲からは祝福されまい。いつか必ず引き離される。別れが来る。
俺は、それが怖い。
いつか来る別れに怯えて暮らすなど、きっと恐怖で狂ってしまう。

(ならばいっそ、最初から離れていれば?)

坊の告白をズタズタにした俺は、不思議とそこまで悲しくはなかった。若干心苦しくはあれど、それよりもむしろ坊に想われていたという喜びの方が強い。
幸せで幸せで、きっと俺はこの先何十年だってこの思い出だけで生きていける。この思い出で、死ぬ時だって幸せに逝ける。

「ふふ。幸せモンやなぁ、俺!」




志摩は知らぬ。愛したその人が裂かれた心と共に暗い闇に堕ちてしまった事など、露とも。
だって志摩はずっと綺麗な思い出の中だけで生きている。





志摩が坊をフッたら坊が悪魔落ちした話。
なんだこのヤンデレ。

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