tactics

□言霊
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心ない言葉ほど、残酷なものはないよね。其処に込められた悪意が深ければ深い程に、其れはより強力な
言霊となって、人の心に
刻み込まれるんだ。

…そりゃ僕は、そんなに
可愛らしい性格じゃないよ。でも、だからって…全く気にならない訳でもないんだよ。

異形の人…か

「…気にしてんのか」
誰ともなしに呟いた言葉に、思いがけず返答があって僕は少なからず驚いた。
「…春華、起きてたの、」一瞬、顔をしかめた春華は「今、起きた…」
そう言って閥が悪そうに
視線を逸らした。そんな
様子が可笑しくて僕は小さく笑みを溢す。
「…笑うなよ」すかさず
不機嫌な声が響いて、頬をつねられた。
「痛ててっ…ごめん御免」あやすように、優しく胸を叩いてやると
「…っお前、俺の事小せぇ子供位にしか思ってねぇだろ…」春華は益々機嫌を損ねたようで、そっぽを向いてしまう。そんな様子すら可愛いくて「は〜るか!」僕は必死に笑いを堪えながら、春華の髪に触れる。
―優しく、優しく。
「…うるせ」
僕の想いが伝わるようにと祈りながら。

漆黒の夜空に、朧に浮かぶ月。

―ねぇ春華、キミは今、何を見てるの?
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