帝王

□疑問
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暗い室内。
明かりすらついていないこの部屋は、どうやら病院の一室のようだ。
ベッドに横たわるのは小さな少年。
そのまわりをぐるりとかこうようにして5人の少年と一人の少女が立っていた。

『なぜだ?』


ぽつりと少女が零せば、びくりと蜂蜜色の神をした少年が肩を震わせた。

ぽろりぽろりと涙がこぼれていく。

「ご、ごめ…っ」
『あぁ、泣くな周助。
別にお前を責めてるわけじゃねぇんだ』

謝罪の言葉を漏らす少年の頭を抱き寄せ、少女はベッドに横たわる少年を見た。

『リョーマをこんな風にしたのは青春学園生徒。
原因を作ったのは転校してきた少女、か』


蜂蜜色の髪の少年がこくりとうなずく。

『突然転校してきて生徒たちを次々に魅了。
リョーマに告白して振られた腹いせにいじめられるようにしむけた、と。
…どこぞで読んだ小説のようだな。
さしずめ、リョーマに告白されて、断ったら襲われたってところか』

少女の言葉にこくこくとうなずく。
くすくすと少女は笑ってみせるが、その瞳は決して笑っていなかった。



『お前ら。その女の素性を調べろ。過去から現在まで全部だ。
家族がいるなら家族にも話をきかねぇとな?
侑士。お前リョーマの意識が戻るまでここにいろ。医者は信用できないがお前なら信用できるからな。
俺様はとりあえずリョーマの家族の所に行って来る。
じゃあ、各自仕事に取り掛かれ』


部屋から出て行く彼らを見た後、少女は横たわる少年の頭を撫で、ゆっくりと部屋から出て行った。




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