本編
□第四話 受諾
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汽車を降りて舟に乗り換えた一行は、地下水路を進んでいた。
途中、ツバキは目を覚まし、アレンに自己紹介を済ませた。
その際にツバキはアレンの白髪を見つめて、
「ご老人かと思いましたわ。」
純粋に毒を吐いた。
アレンは衝撃を受け、しばし落ち込んでいたのをイツキが元気づけて、どうにかここまでやってきた。
「だいぶ遅くなっちゃいましたね。」
「この嵐で汽車が遅れましたから…」
トマの漕ぐ小舟に揺られ、所々にある火を頼りに進んでいく。
数分もしないうちに船着場が見え、トマはそこに舟をつけた。
アレンが舟を降りて、次いで降りてくるイツキにアレンは手を差し出したが、またしてもスルーされた。
「…」
ユイとツバキは何の抵抗もなく、自然にアレンの手に重ねて降りた。
「ア、アレン、あたしらこっちから入っていいのか?なんか関係者以外立ち入り禁止っぽい…」
あまりの裏口っぽさにイツキが狼狽して尋ねた。
イツキの記憶の中では、たしか門があったはず。
「…今回は大丈夫だと思いますよ。回収したイノセンスの適合者がすぐ見つかったので、報告しないといけませんし…」
ドサッ
「え?」
「あ?」
「何?」
「あら?」
何か落ちる音がしてそちらを見れば、黒髪の少女が階段に倒れていた。
「リ、リナリー!?どうしたんですか!?」
アレンが慌てて駆け寄るが、リナリーの意識はない。
「も、戻ったか、アレン…」
「!リーバーさん!?」
階上からはヨレヨレのリーバーが降りて来た。
あちこちが傷だらけだ。
イツキはこの光景を眺めながら、記憶を辿った。
「これはまさか…」
「何か知ってらっしゃるの?」
「そうよ、この世界の漫画が流行ってるって言ってたじゃない。」
ユイとユイはイツキの呟きを拾って、尋ねた。
イツキはなんとも言えないような顔を二人に向けた。
「漫画通りだとしたら、」
「に…逃げろ…コムリンが来る…」
リーバーの声がイツキに重なる。
「"コムリン"だ」
「「コムリン?」」
ドカン!
ユイとツバキが声をハモらせた時、壁を破って大きなロボットが現われた。
一同は驚き、咄嗟に身を庇った。
「「来たぁ」」
一応初対面のリーバーとイツキは、再びハモった。