本編

□第二話 招喚
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『ようこそ、俺の世界へ。』



まるで、そこに何かあるように彼は座っていた。



「「「…誰(ですの)…?」」」



イツキ、ユイ、ツバキの三人は声を揃えて尋ねた。

髪は漆黒、肩口で切り揃えられている。
瞳は金とも銀ともつかぬ輝きを放つ。
顔形は、それこそ童子のようであったが、醸し出されるものは、無垢とは言い難かった。



『俺は創造主。世界を創るものだ。』



「「「創造主?」」」



創造主、と名乗った彼は、そ、と端的に肯定して二カッと笑った。



「世界を創る?そんな非科学的なこと信じると思ってるわけ?」



さすが、開発を担うだけのことはあるユイ。
その異彩を放つ彼に食ってかかった。

しかしながら。

非科学的?、と気分を害した様子もなく、彼はユイの言葉を反芻した。



「そうよ。地球は40億年前に小さな核から始まった、奇跡の産物よ。創造主なんて、そんなことあるわけないじゃない。」


ユイは自信たっぷりに言った。
しかし彼は表情を変えない。



『じゃあ、その奇跡を見た者は?いるのか?』



「生物の生きられない環境よ?誰が見るって言うのよ。」



彼の言葉にユイは、鼻で笑った。



『つまり、いないってことだろ?俺がどうやってその奇跡を起こしたのか見た奴は。』



目を細めて、彼は三人を順に見た。



「お前(アンタ・貴方)が…?」



驚きと不信の入り交じった声が発せられた。
彼は、そうだ、答えて、何もないそこから降りた。



『俺がビッグバンを利用して、地球を創った。』



「そんなこと信じられるわけないじゃないの。」



彼はユイから視線を外し、二人を見た。
お前らもか?、と彼が尋ねれば、二人は視線を合わせて、頷いた。
彼はその様子に落胆したり憤ることはなく、ケロリとしていた。



『…ま、俺のことはどうだっていいんだ。』



「へ(は・え)?」



突拍子のない切り返しに、三人とも思わず呆気にとられた。
彼はそれに構わず、話を続ける。



『俺はお前らのいる世界とは別の世界を創った。言ってることわかるか?』



なるだけ噛み砕こうという彼の思いなのだが、どうやらユイには気に触るらしい、馬鹿にしないで、と唸った。


 
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