本編

□第五話 開幕
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「見事だよ、イツキちゃん。何故そんな事を知っているのか是非聞きたいな。」



にこやかに言うコムイの腹黒さを感じながらも、イツキは笑い返した。



「どこから話せば…」



隠しておいても仕方ないことだ、そう思ってイツキは話した。

イツキたちのいた世界では、この世界で起こっている事が漫画になって売られている。


そう言われてコムイは驚きを顕にした。



「まさか、この先起こることも知っているのかい?」



イツキは頷かなかった。
知っていることを洗いざらい教えたとしたら、未来は大きく変わってしまう。
それは良くないことだと、イツキは本能的に理解している。
ならば、知っているとは言わなければいい。

ユイとツバキはただ二人を見守るだけに徹している。



「残念ながらアタシが知っているのは、この事件までだ。」



イツキのその言葉に、コムイはほっとしたようながっかりしたような、なんとも言えない顔をした。



「取りあえず、色々あって疲れているだろうし、部屋に案内するね。リナリー!」



コムイの声にツインテールの女の子がやってきた。
顔を見ずとも地下で落ちてきた子だと名前で分かった。



「はーい。新しく入った子たち?」



「イツキです」



「ユイよ」



「ツバキと申します」



リナリーの可愛いらしい笑顔に三人もつい顔が緩む。



「リナリー・リーです。わからないことがあったら何でも聞いて下さい。」



年上の女の子に少々緊張しているリナリーが可愛いかったが、ユイとツバキは同じ所が気になった。



「「"リー"?」」



「え?」



見事に声をハモらせた二人にリナリーは目を丸くした。



「"リー"って、」



「コムイも」



「"リー"ですわよね?」



迫られてしまい、リナリーは後退さる。



「え、はい、兄です…」



「「兄ィー?!」」



二人の絶叫が教団内に木霊した。






 
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