本編

□第二話 招喚
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少年は異常なほど肥大したその左手を翳し、ソレを破壊した。
爆発するようにソレは崩れた。



「っ」

「何っ」

「きゃっ」



爆風が三人を襲うが、イツキは風に背を向けたまま二人を庇った。
間もなく風が止み、恐る恐る振り返れば、白髪の男の子が差し延べられていた。


「大丈夫ですか」



そう声かけられたイツキ。
少年の特徴的な目元の痣。
忘れようもない、主人公の少年だった。



「あ、あぁ、大丈夫(アレン・ウォーカーだ…)」



イツキは差し出された手の意味を理解せず、自力で立ち上がった。
白髪の少年 ―― アレン・ウォーカーは自分の差し出した手を一瞥して引っ込めた。
もちろん、苦笑は禁じえなかったが。



「…それなら良かった。貴女方はどうしてここに?この地区には誰も住んでいませんが…」



さすが、英国人。
紳士に接しながらも、突然現われた人物への警戒は怠らない。



「勝手に入って悪い。突然、ここに放り出されてな。」



「は?」



わけが分からず、ポカンとしたアレン。
イツキは、気にするな、と苦笑した。



「とにかく、ここは少し危険なので離れましょう。」



アクマが現われるかもしれません、とアレンが言って、それにユイが反応した。



「アクマって一体何なの?」



ツバキを支えながら立ち上がったユイは、眉をしかめて尋ねた。
ツバキは喉を押さえて痛みに耐えている。



「そちらの方は具合が悪いんじゃないですか?とにかく落ち着ける場所に行きましょう。」



その申し出を断る理由もなく、三人はアレンについて行こうとした。



「ぅ、ぁ…」



ツバキの喉が疼くように痛んだ、その瞬間、アレンの左目が違う色を発した。



「退がって下さい!」



そう言うのと同時に、先のと似たような物体が現われた。



―― これが、AKUMA…



ユイは改めてAKUMAを観察した。
そのボディの使用目的が、他への攻撃であることがすぐに判別できた。



《ニン、ゲン、と、ぇクソし、すト…》



ぎぎぎ、と銃口がこちらに向けられた。



― 界蟲"一幻" ―




アレンが攻撃をすることなく、そのアクマは破壊された。



「ウロチョロしてんじゃねぇ!!」



破壊されたアクマの影から現われたのは、刀を持ったポニーテールの男。

 
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