本編
□第五話 開幕
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"竹"のように
誠実で気高くあれ
皆の勇気となるであろう
"松"のように
本物を見紛うことなく
変わらずにあれ
皆の知恵となるであろう
"梅"のように
皆の希望となるであろう
寒い冬にも
未来を感じさせる"梅"だ
三人は
"歳寒の三友"となって
この世の終わりに
三種の種を植えるだろう
ヘブラスカの予言を聞きながら、コムイは複雑な気持ちにさせられた。
突然アレンが連れ帰った三人の少女。
ヘブラスカは異世界の少女だと言う。
三人も別の世界から来たのだと言う。
そし少女たちはイノセンスに適合した。
―― 運命
そんな言葉が一番しっくりくるほど、奇跡のような話。
「やっぱり、ツバキちゃんがシンクロ率は高いね。」
身体検査を受けた後、呼ばれた三人はコムイの話を聞いた。
「64%だね。次はイツキちゃんの51%でユイちゃんは49%。」
コムイは書面を見ながら、まあこんなもんかな、と一人思った。
「わたくしのシンクロ率が高いのが、何故、"やっぱり"なんですの?」
意外な質問をされ、コムイは少々驚いた。
この少女を見くびっていたようだと、その時気がついた。
「寄生型だからじゃないか?」
そして更に意外な所から声が出た。イツキだ。
異世界の少女だと言った彼女が、どうしてそのようなことを知っているのか。
「寄生型?」
「ユイのPCはそもそも、ユイの物だけどユイの体の一部じゃない。アタシのグローブも、外そうと思えば外せる。だけど、ツバキのイノセンスはツバキの体に埋まっている。イノセンスがツバキに寄生してるんだ。」
「じゃあ私たちのは何て言うのよ。」
「装備型。寄生型は脳とイノセンスが繋がり易いから、シンクロ率が装備型よりも高いんだ、って…」
話を締めようとしたイツキだったがコムイの笑顔を目の当たりにして、喋り過ぎたことを悟った。