ハトアリ小説

□ぼくのおもうこと
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きっとあなたがいるからぼくは、あなたがいる「残酷」と言う名の世界に存在しているのでしょう。


この世界に慈悲なんて存在などしない。


そんな世界にぼくはあなたを迷わせた。


自分勝手の想いを押し付けて、それはあなたの為と自分に思い込ませて。


ああ、なんと世界は美しい。


ぼくは現在進行形であなたを愛してる。







お城の庭に造られた薔薇に囲まれたお茶会席。


その用途に従って、二人で紅茶を飲みつつ、談笑していた。


それは、きっとごく普通の光景であろうとも、僕の心には温かい日差しに包み込まれるような、そんな気分。


あなたが、そうあなたがいるだけでぼくは今まで感じたことのないような幸せを味わえる。


紅茶を口へ運ぶ。


苦くて甘く、それはあなたへの想いのよう。


そんな幸せな気分の中、アリスは僕へこう質問した。


「ねえ、ペーターは何故私のことが好きなの?」


・・・愚問だ。


好きと想うことに理由など必要あるのだろうか。


”好き”と認識しているから”好き”なのだ。


理由など、考えたことも、考えようと思ったことも無かった。


「なんで、です?」


逆に問う。


「ちょっと気になっただけ。だって私なんかより素敵な女性は星の数ほどいるわ」


「何を言ってるんですか?ぼくにとってはあなたが一番の素敵な女性なんですよ、アリス」


茶菓子をつまみながら応えた。


言葉に偽りなどない。


きっと、ぼくにとっての素敵な女性はアリスしかいない。


そう心から感じている。


「・・・そう」


そっぽを向いたような返事。


アリスの方へ顔を向けると顔を赤らめている姿があった。


「なに照れてるんですか?アリス」


「うっ、うるさいわよ!照れてなんかないわ!」


彼女は確かにそう言うのに、身体は正反対にどんどん赤くなる。


顔も耳も。


「フフッ、可愛いですね。アリスは」


そう微笑むと、もうなにも言えないのか、紅茶を黙って飲み干した。

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