ハトアリ小説

□貴方がいれば「頑張れる」
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目が覚めて、隣には貴方が寝息を立てていて。


そんなほんのささやかな幸せを感じ、思う。


良かった、今日も此処に存在していると―・・・。






このまま起きたい気分でも無かったので、ペーターの寝顔を観察することにした。


(我ながら悪趣味・・・)


そう思いつつも、そんなことくらい別にいいじゃない、と脳が伝えるので気にしないことにした。


いつ見てもペーターは綺麗な顔立ちだと思う。


正直女の私として立場が無い。そこら辺にいるような、例えば私のような女性よりも何倍も綺麗なのだ。


少し、悔しい。


「・・・ペーター」


「何です?」


「!?」


名前を呟くといきなり返事が返ってきた。


彼は寝ているとばかり思っていたので、つい驚いてしまう。


「もしかして、今まで起きてたの・・・?」


「はい、ばっちりと」


嘘、信じたくない。


急に恥ずかしさがこみ上げてきて、穴があるなら飛び込みたいくらいだ。


「ずっと僕のこと見てくれてましたよね?嬉しいです」


悪戯的笑みを浮かべるペーター。


「あ、あれは!ペーターはいつも綺麗な顔してるわよねえ、と思ったから、その・・」


「慌てる姿も可愛いです」


くそぅ・・・、こいつ!


確実に私で遊んでいる。


何で私はこんな奴のことを好きになってしまったのだろう?


今更だか、思う。


変態でストーカーで。


確かに優しいし顔はいいし、気づけば隣にいるような。


いたらいたで迷惑だけれど、いなかったらいなかったらで寂しくて死にそうになる。


私は、彼に依存しているのかもしれない。


「アリス、好きですよ」


「・・・知ってるわ」


ねえ、素直になれない時だってあるけれど。


何の取り柄もないような、素敵な女性でもないけれど。


貴方だけは私を好きでいて。


貴方だけは私を抱きしめていて。


まだ完全に現実のことを忘れたわけじゃないし、これからもきっと忘れることは出来ないだろう。


帰りたいと、少しでも願う日が来るかもしれない。


時には怖くなったり、泣きたくなるときだってある。


だけど、貴方がいれば。


貴方がいれば、頑張れる、そんな気がするの。


だから、そんなときは、優しく抱きしめてね―。








(ペーター)




(何ですか?)



(大好きよ・・・)








END



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