ハトアリ小説
□貴方のせいよ。
1ページ/1ページ
漆黒が包み込むような夜。
私はブラッドの部屋で寛いでいた。
ソファに二人、何か話すでも無くただ座って時間を過ごす。
そんな中、彼は私にいきなり口付けた。
「何よ、いきなり」
「私はしたいことを、したいときにするんだ」
彼が発したのは、お決まりの台詞。
もう、何度も聴いた言葉。
そして、再び無言。
何か話すことはないか。
「私ね、この狂った世界に来て、狂った貴方に出会ったの」
「ほう・・・」
だるそうな声。
「そのせいで私は狂ってしまったわ。
全部、貴方のせい」
「そうか。
・・・それは褒め言葉として受け取ってもいいのか?」
彼はニヤニヤとした笑みをこちらに向ける。
少し、怖い。
「貴方がそう思うのなら」
「ははっ!最高の褒め言葉だな」
そう云って、また口付ける。
そんな行為がこんなにも幸せで、嬉しく感じてしまうなんて。
もう狂わないと決めたのに・・・。
私の思考が、感情そのものが。
貴方のせいで狂ってしまった。
そして。
そう思いながら、私は彼に溺れていく・・・。
END