ハトアリ小説

□君と眠る
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時間帯が久しぶりに夜に変わった。



最近は全く夜が来ず、夜にならないと眠ることの出来ない私にとって、それは最悪の状況に等しい。



しかし、夜は来た。



今日はやっとゆっくり睡眠を取ることが出来そうだ。



早速ネグリジェに着替え、寝る準備を始めた。







一方、ユリウスは何十時間帯も眠ることなく時計の修理に励んでいた。



眠る気などさらさら無いようだ。



「ねえ、ユリウス。貴方は寝ないの?」



「まだ寝なくても平気だ。お前だけ寝ていればいい」



それは予想通りの答え。



「流石に寝ないと危ないわよ?ねえ、寝ましょう?」



もう随分寝ていない彼はまだ寝ないつもりらしい。


そろそろ寝ないと本当に倒れちゃうような気がしたので、止める。



「・・・仕方ないな」



そう云って時計の修理をやめ、着替えを取りに行った。



よかった、これで倒れなくて済みそうだわ。





「いつ見てもそのパジャマ、趣味悪いわよねぇ・・・」



見るたびに思う。



「五月蠅い、着れればいいんだ」



そんな会話をしながら、ベッドに寝ころぶ。



そうすると彼は、優しく毛布をかけて、腕枕をしてくれた。



とても心地いい・・・、幸せな時間。



つい、微笑んでしまうほど、幸せ。



「おい」



「何?」



彼の方へ顔を向けると、不意に口付けられた。



それはあまりににも唐突で、不覚にも驚いてしまう。



そして後に残る、嬉しさ。



「・・・ねぇ、明日出かけましょう。パジャマでも買いに」



そう云うと、彼はそれに応えるかのように微笑んだ。

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