ハトアリ小説

□貴方がいれば「落ち着く」
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日頃の疲れを癒すために、自室で休んでいた。



「ねぇねぇ、アリス!キスしてもいいですか?」



・・・殴るよ?













とりあえず苛ついたので一発殴っておいた。



「酷いです・・・」



そう云って上目遣いで私を見つめる。



何よ、そんな上目遣いしたって私は可愛いなんて思・・・っちゃうじゃないか。



「酷いですよ、アリス。何回もしてるじゃないですか。別にいいでしょう?」



「そのことを云わないで。恥ずかしいじゃないの!それに、嫌だから」



「酷いアリス、酷いアリス、酷いア―」



「それ以上云ったら殴るわよ?」



拳を握りしめる私。



流石にペーターも怖くなったのか云うのをやめた。



「大体ねぇ・・・

私は部屋に休むために居るのよ。貴方とキスする為にいるんじゃないのよ」



「え、そうなんですか!?」



―知らなかったのか、此奴・・・。



「だから、ペーターが此処にいたら休むにも休めないじゃない。出て行って、少しでもいいから」



「・・・分かりましたよ。

出て行けばいいのでしょう?本当は出て行きたくなんて無いんですが、仕方ない」



どうやら理解してれたようだ。



「扉の近くで待っているので、恋しくなったら直ぐに来てくださいね!」



「はい、さっさと出て行ってー」



私はペーターを部屋から追い出した。



「はぁ・・」と、ため息をついて近くのソファに腰をかけた。



これでやっとゆっくり、誰にも邪魔されることなく休むことが出来る。



・・・でも何かが足りような気がするのは気のせい―?



感じる違和感に戸惑いを感じる。



いつもとは違うこと、それは―



「ペーターがいない」



そっと、呟く。



いつも彼は私の隣にいた。



何だか隣に彼がいないことが、寂しい・・・。



「あら、私ってこんなにペーターの事が好きだったのね」



それは、気付かぬ内に。



私は彼が好きだからこの世界に残った。



だから好きと云う事は知っていたし、自覚していた。



そう、私はその時よりも彼を好きで愛しているのだ。



私はそっと立ち上がり扉へと向かう。



そして、扉を開くと―


大好きな、貴方の姿が私の目に映し出される。



「あ、アリス!もしかして僕のことが恋しく―」



言葉を遮るように、ペーターのキスをした。



それは、図星だったから。



ペーターといる時間は一人でいる時間より心が休まっていたのだ。



どうして、こんな事に気付かなかったのだろう?



「・・・いいから、入りなさいよ」



ぶっきらぼうに言い放つ。それは、恥ずかしかったから。



きっと私の顔は真っ赤な事だろう。



「はい!」



ペーターは眩しいくらいの笑顔をこちらに向けた。



そっと、こんな幸せな時間に感謝した。







(アリス、キスしてもいいですか?)




(・・・いいわよ)






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