ハトアリ小説
□貴方がいれば「幸せ」
1ページ/1ページ
夢から覚めて段々意識がはっきりしてきた。
目をしっかりと開けると夕方だった。
此処では時間が不定期に流れている為に、目を覚ましたら夕方と言うことはよくあること。
そんな事にはもう慣れている。
隣に目を向けると、幸せそうに寝息をたてるペーターの姿があった。
(仕事しなくて大丈夫かしら・・・?)
ふと、そう想った。
幸せそうに寝ているからそのまま寝かせておこう、等と云う感情は一切出てなかった。
寧ろたたき起こしてやろう、と云う感情がわき出してくる。
「ペーターそろそろ起きなさいよ!」
身体を揺すりつつ、耳元で大きく叫んでやった。
流石にたたき起こすのは可哀想かと想ったからだ。
我ながら優しい一面もあるものだ。(これが優しいのか、と云う質問は皆無)
そうするとペーターの耳がピクピクっと動き、目蓋が開いた。
「アリス!何でそう耳元で大きく叫ぶんですか!兎の耳は繊細なんですよ!?」
とても寝起きとは想えないほど話し出すペーター。
「良く寝起きでそんなに話せるわね」
「アリス!」
ものすごい形相で睨んでくるので、ごめん、と謝った。
そうしたらペーターの表情はさっきまでとは正反対な柔らかい表情になった。
何て、単純な男だ。
「好きですよ、アリス」
満面の笑みを浮かべながらペーターがいきなり告げた。
どうしてこういきなり云うんだ、ペーターは。
「アリスも、僕のこと好きでしょう?」
ペーターがそう問うのでとりあえず頷いた。
そう、ペーターの云っていることは、紛れもない事実なのだから。
(ねぇ、ちゃんと言葉で伝えてくださいよー!)
(・・・殴るよ?)