サイエンス・ワールド 短編集
□-望む光-
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……………
「ねぇ。キル」
目の前で俯いている彼女が不意に口を開く。
白銀に輝く布状の翼を羽ばたかせ、重力に逆らいながら目を合わせない。
「アナタは結局…なんの為に生きてるの……?」
またこの質問。
何度も何度も問いかける同じ言葉。
もういい加減あきた。
コートの裾をなびかせ、苛立ちに足下で維持している赤い炎の威力が若干増す。
同じ位置に浮かんだ状態で茶のコートを着ている彼女の顔を見るが、全く目を合わせない。
「何度言えば分かるんだ。決まってる」
「自分の為?」
「……………あぁ…」
その為だけでここまで来た。
この場所に来るまで殺して殺して殺して殺して、
数えきれない程人を殺った。
何故か?
邪魔だった。邪魔だったから殺した。
「……自分の為、……自分の為なら…、アナタは何を求めているの…? 目的は…?」
「目的? そんなもん、テメーが一番知ってるだろ」
そう言うと、ぴくりと僅かに顔を動かし何か言いかけるが口をつむぐ。
俺もお前も、同じだろ?
なぁ…、リリー