サイエンス・ワールド 短編集
□ー変わった彼ー
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洗面所に向かうと、ザーッと音が聞こえ、見ると、ハンナが先に起きて顔を洗っていた。
いつもかぶってる赤い帽子は隣の小さな机にちゃんと置いてる。
お?と言って近寄る。
「はよ。ハンナ」
を?といって背を向けて顔を洗いながら喋るハンナ。
「おはー。その声はキル君だな」
「おー。早いんだな」
「貴様こそ起きるの早いな。いつもはグーたら寝てる癖に」
「グーたらって余計…ー」
ちょうどハンナが顔を濡らしたまま振り向きキルを見る。
「……だ……ろ…」
最後の方は声が小さくなり、ボーっとハンナを見る。
「を?どした?」
キョトンとした顔で見る。髪の毛先から水が一滴二滴、地面に滴(したた)れ落ちる。
「…………ハンナ……」
声を低くして近寄るキル。
「…?なんだ」
「……濡れてる状態も、悪くないよな…」
目の前で立ち止まってハンナの毛先を指で優しく撫でる。
「…っはぁ!?///」
突然の事でビクッと肩を上げ、一瞬顔を赤くする。
「な、なっ、何気持ち悪い事言ってんだ貴様!//」
ハンナの反応を見てニヤリと笑い
「そうゆう反応も…、強気なところ。良いな」
からかうように言うキルにピシッと固まるハンナ。
「………!!??/////」
「……って…、あれ?」
ハッとして我にかえり
「…俺今なに言ったんだ?」
頭をかき、記憶がない様子でハンナに聞くが、顔を真っ赤にして口をパクパクとしたまま話しを聞いてない。
「うっお!?大丈夫かよハンナ!?」
「……ぁ…、あぁ…////」
頭から煙が出てバッと両手で顔を覆う。
「うぁぁ〜////」
その場から走って離れて行ったハンナ。
「は?ちょ、なんなんだよ。何かあったのかぁ?」
首を傾げ、とりあえずま、いっかと言ってバンダナをはずし、顔を洗い始めるキル。
「ふぅ」
タオルで顔を拭き、洗顔が終わってバンダナを結ぼうかと思うと、後ろから誰かが抱きつく。