サイエンス・ワールド 短編集

□ー迷子の親子ごっこー
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「…………何かの間違いだよなこれ」


ハンナが門を開けながら男の子に言う。


「僕間違ってないよ?」

キョトンとした顔でハンナを見上げる。


「ありえないだろ!?てか貴様は誰だ!」


「んと、ハセって名前」


「へー。あっそ。とりあえず貴様家に帰れ。ここは貴様が来るところじゃない」


「……直球だね…」

クロルがハンナを見る。


「僕もお母さんと一緒に行く」


「そのお母さんは止めろ。虫酸が走る」


「…お母さんっぽいよ…?」

はぁ?とクロルを見るハンナ。


「貴様、俺がこうゆう女らしい呼び方好まないのを知ってるだろ。それに全く嬉しくない」


「そうかなぁ…」


「僕も行く僕も行く!」

走って学院の中に入り、庭園に向かう男の子。


「あ、まて貴様!追うぞクロル」


「…うん……………」

二人共男の子が向かった庭園に向かって走る。





「ん?あっちにいるのはキル君とシュールじゃないか?」


「……本当だ……」


ペースを落とし、庭園の中央に立ってる二人に向かって歩くハンナ達。


「おい貴様等」


「ん?おうハンナ達じゃねーか」


「もう花植えは終わったのですか?」

キルとシュールが気づき聞いてくる。


「おうよ。楽勝楽勝。それよりも、貴様等ここにちっさい男の子が来なかった?」


「男の子ぉ?俺は見てねーけど?」


「私も知りませんねぇ…」


二人共首を傾げて教える。すると4人の隣から男の子があるいてくる。


「あ。いたいた」

ハンナが気づき、みんな男の子を見る。


「………ぁ…」


クロルを見るハセ。


「………?」

下を向いてハセを見下ろすクロル。すると…


「…お父…さん!」


「……え……………」


「お父さんだー」

クロルの足に抱きつく男の子。



「を。今度はクロル君だ」


「お父さんって…」


キルが子供を見る


「おい貴様、やっと見つけたぞコラ」


ハンナが近寄ると、今度はハンナの足にしがみつき


「お母さん!」


と言う。



「お母…さん…」

「おやぁ……」


キルとシュールが子供とハンナ、クロルを見る。



「…お、お前らいつの間に子供なんかっ!」

「つくるわけないだろっ!」


キルに言い終わらせる前に右ストレートをかますハンナ。


「いって!」

赤くなった右頬をさする。

 
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