‡モノクロ×アリス‡
□ー神出鬼没者ー
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「げろしゃぶッッ!?」
「………………」
「え、今なんつった? しゃぶしゃぶ?」
「なんだ夢か…」
「しゃぶしゃぶの夢?」
黒いリボンとエプロンドレスがトレードマークのアリスが白目で叫んだ言葉に対して、ゴージャスブラックロングドレスを着ている姉のリデルが出だしから勘違いをする。
「あーあ」
アリスが座ったまま欠伸と背伸びをする。
「みんな死ねばいいのに」
夢を見て一体何を思ったのか、青い空を見上げ呟いた。
彼女の名は『アリス』(自称ヒロイン)。毒舌を連発するこの物語の主人公
。白目大好きっ娘人間。
「こら! アリス」
パタンと膝に置いて読んでいた本を閉じ、金髪ロン毛の黒カチューシャをしているリデルが注意をする。
「殺すの間違いだろう?」
と見せかけてフリだった。
彼女はアリスの姉、『リデル』。毒舌を連発するアリスの言葉を更に毒舌に直す。直す意味が分からない。かなりのドS。
今アリスとリデルの二人は家の近くの庭に腰を下ろしている状態。
何故庭に居るか。その答えは単純。
暇だったからだ。
勿論二人共学校にはちゃんと通っており、母親と父親も一緒に暮らしていて至って平穏。
だが今日は学校が休みであり、家の中では特にこれといってする事もないので、退屈しのぎに姉が庭で本を読みに行きたいとアリスを誘ったのだ。
誘ったというよりも、只単に眠りたかったアリスがひなたぼっこしに勝手について来ただけなのだが、姉は眠るアリスに眼中もなく分厚い本を読書する事に勤しんでいた。
全く正反対の行動をする二人なのだが、今まで喧嘩をした事がないのが不思議である。