サイエンス・ワールド 短編集
□-サイエンス学園T-
1ページ/21ページ
‘ピピピピピピピピー’
「うっおー!?も、もうこんな時間かよ!」
朝8時30分。
目覚まし時計の音でガバッと起き上がり、起床するキル。
ワイシャツに黒いブレザー、ズボンに急いで着替え、ドタドタと騒がしく走って階段を下り、机に置かれていた牛乳をガブ飲みする。
ちなみに額にはバンダナをしていない。
「ぷはー!やっぱり朝は牛乳だな」
飲み干したコップを机に置き、時計に目を通すと、この時点でもう8時35分。
学校が始まるのは8時50分からで、家から学校まで歩いて20分の距離。
ギリギリ間に合わない時間帯で、朝っぱらからしかも出だしから今まさにピンチである。
「やっべー!遅刻する!」
カバンを持ち、すぐに家を出ようと玄関で靴を履くと、後ろからロリ(キルが勝手に付けたあだ名)が一枚のトーストがのっている皿を両手で持って歩いてきた。
「あ。キル。朝ご飯のパン、食べないの?」
「あ!忘れてた!サンキュー母さん」
パンを口にくわえ、ドアを開けながらロリを見る。
「じゃぁ、遅刻しそうだから行ってきまーす!」
「行ってらっしゃい。キル」
バタンと勢いよくドアを閉め、日常らしく、慣れたように手を振り見送った。
‘タッタッタッタッタッタッタッターーー…’
「ハァ…、ハァっ、や、やふぁい!まふぃひこくふる!
(訳:や、やばい!まじ遅刻する!」
トーストをかじりながらカバンを片手で抑え持ち、歩道を走る。
と、曲がり角にさしかかる。
‘ドカッ!’
「うっわっ!」
「………ー!!」
曲がり角を曲がった瞬間、誰かと衝突し、くわえていたパンとカバンを地面に落とし二人ともしりもちをついた。
「いっててて…。あ!だ、大丈夫か!?」
頭をおさえながらバッとぶつかった人を見る。
「ぐぬぅ〜。私なら大丈夫だぁ」
見ると、同じ学校の制服で、黒いチェックのスカートをはき、ピンクの触角のような球体がついているカチューシャをした緑色の髪の子が返事をする。
だが、どう見ても格好だけ女子で、顔や体が男だ。
しかもがに股で、膝まである赤の体育着ズボンが丸見えだ。