サイエンス・ワールド 短編集
□ーブラック・ホワイト・クリスマスー
1ページ/27ページ
12月24日、クリスマスイヴという別名ホワイトクリスマスと呼ばれる日。
粉雪がちらほらと降り注ぎミスティルの街の地面と屋根を白銀色に照らす。
「だーからー!!なんでこんな生クリームばっかついてるケーキなんだよ!!」
「に!だってだって、明日は年に一度のクリスマスだよ!?そんな日に甘いケーキ買わないなんて損だよぅ〜。」
「俺がその生クリーム食えないの知ってるだろ!?」
「ま、まぁまぁ・・・・ι」
宿屋に宿泊しているみんなの部屋の中央で、キルとネリルが顔を見合せながら言い合いをし、その真ん中にフィリが困り顔で二人を落ち着かせようとしている
「クリスマスと言えばケーキ!ケーキと言えば甘いクリームケーキ!これは常識なのだよ。」
たくさんのケーキの種類が載っているチラシをバッとキルに見せる
「誰だよおまえ。」
‘ガチャ’
「なんだよ朝っぱらからうっせーなこらぁ。なんの騒ぎだよ貴様ら。」
部屋の扉を開けて赤い帽子を取って寝癖がついた髪をかきながらハンナが話しに入り込んできた
「あ、ハンナさんおはようございます。」
「何ってケーキの話しだよケーキの。」
フィリがあいさつし、キルがハンナを見て返事する
「ケーキぃ?」
三人の前で立ち止まり、声を裏返らせる
「ほら、今日ってクリスマスイヴでしょでしょ?明日はちゃんとしたクリスマスだから、今日と明日のクリスマスケーキを買おうって事になったんだけど、キル兄がクリームのは嫌だって・・・」
「なんだ、そんな事で争っていたのか貴様ら。」
「そんな事じゃねーよ。確かにクリーム系は食えるけど・・・ネリルの言ってるクリームケーキ見てみろよ!?」
「んん?・・・・・・・・・・・・・・・・う゛っ」
キルがネリルが持っているチラシをぶん捕って、あるケーキを指をさして見せると、顔を引きつらせるハンナ。
見ると、想像していた普通のクリームケーキとは程遠いお菓子で、棒キャンディー、飴、ワッフルにクッキー、プリンや和菓子と様々なお菓子類がチョコの生クリームにところせましと盛り付けられている。
しかもケーキの大きさが通常サイズよりもでかい。