サイエンス・ワールド 短編集

□ー迷子の親子ごっこー
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「さてと。そろそろここも用済みだな」


ダイヤモンド女学院前でハンナが一息つき、歩いてくるクロルを見る。


「おいクロル。そっちも終わったかー」


「…………終わったー…」


スコップを手に持ってハンナの前にくる。


「にしてもなんであのケバ嬢ちゃんは花を植え付けるのを俺達に頼むのかねぇ〜」

「……ケバ嬢ちゃんって…、ハルって人の事…?」


ったりめーよと普通に返事するハンナ。


「…お金がピンチだから俺達から頼んだからでしょ……?」


「まぁな。キル君達は学院の中で掃除や整理させられてるし、ちょっとしたアルバイトって感じだなこりゃ」


ハンナが学院の高い門を開けようとすると、服の裾を誰かが掴みくいっと引っ張られる。


「おいクロル。馴れ馴れしく服を引っ張るな」

「…え?…俺じゃないよ…?」

隣に立ってるクロルがハンナを見て言う。


「…を?じゃぁ誰だ」


「お…かぁ…さん……」


「……………?」

声がしてクロルと一緒に後ろを振り向くと、ハンナの裾を掴んでる小さい男の子がハンナを見上げてる。髪は金髪で短く、瞳は真っ黒で茶色い短パンと黒いTシャツのような無字服をつけてる。


「…………今…、なんつった?」


ハンナが間をあけて聞く。


「……お母…さん」


「おっ…!?」


「お母さん!!」

足に抱きつく男の子にピシりと石のように固まるハンナ。



「…………わー…」


真顔で子供を見るクロル。

























ー迷子の親子ごっこー
 
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