連載パラレル@
□俺は…〜憂色〜
5ページ/15ページ
力任せに拳を叩きつけようとした瞬間、タイミングよくドアを開けた佐野君と対面したんだ
『ただいま〜親父!!』
いつも父親に気を使っていたのか、無理を隠すような笑顔で笑っていたのが…彼の最初の顔。
『…っ親父…何しとんねや』
予想もしなかった出来事に段々と笑顔が消えていく。
そんな彼の表情があまりにも綺麗に思えて…この時から、心の中にある"何か"がそこに種を植えたんだ
『お前…親父から手ェ離せや!!』
『……言われなくても、離すよ』
地面に叩きつけるように胸倉から手を離すと、バランスを崩した父親を庇うように駆け寄る。
『言っとくけど、君の居場所を中々吐かないそこの人が悪いんだよ?』
『っ…やからって殴ろうとする事ないやろ!?何様のつもりやねん!!』
臆する事なく、必死な虚勢を楯に怒りをぶつける
あぁ…ココだ。
ココから、その種が目を出したんだった……
花の咲く事の無い、ただただ積み重ねるだけの"何か"
解らない…解らないから、無性に苛々した感情でいっぱいになる僕がいるんだ
.