精煉の道
□未成年飲酒禁止!
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いつからか、彼を眼で追うようになった。
最初は気にしていなかった。
けれど、いつの間にか、いつもその姿を探している。
彼を見付けると、自然と嬉しさがこみ上げてくる。
この気持ちに名前を付けるなら、何がぴったり合う……?
《未成年飲酒禁止!》
わあわあと騒がしい。
夕日も沈んだ時刻、《蒼い鷹》宿舎の大広間。
何故か、今現在、《蒼い鷹》隊員全員集合で、宴会もどきを開いていた。
何故こうなったのか。
発端は、おそらくカイル・ブラナー大佐。
何故って、それは妙に彼が上機嫌だから。
「……どうでも良いけど、俺たち未成年なんだけどなぁ」
上機嫌のカイルに渡された酒の入ったコップを見詰めて、ディオンはぼやいた。
「でも、少しは慣れておいた方が良いよ?」
いつものほんわかした笑みを浮かべているフェルナンドが、ディオンの手にある酒を見る。
「いやー……でもさ……」
苦い顔をして、ディオンは酒の入ったコップをテーブルに置き、代わりにジュースの入ったコップを手に取った。
『ディオンはお酒飲んだことないのよね』
ディオンとフェルナンドの足の間にお座りをしていたアッシュがそう言って、おかしそうに喉で笑った。
「え、一回も?」
「うん」
「一口も?」
「じいちゃんが、未成年の飲むものじゃないって絶対飲ませてくれなかったんだよ。
まあ俺も、酒とか匂いが苦手だったから、あんま飲もうとか思わなかったし」
ジュースを飲みながらそんな会話をしていると、いきなり後ろから誰かに抱き込まれた。
「少年よ、飲んでるかー?」
「わ、大佐!」
「びっくりしたぁ」
酒の入ったグラス片手に、カイルは少年二人に絡む。
「大佐、いたいけな少年に絡むのは止めてください」
にこにこと美しい笑みを浮かべたジェイダが、二人からカイルを引っぺがす。
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