精煉の道
□そばにいてね
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いつも一緒にいたいから。
だから、勝手かなって思ったけどあんなことしたんだ。
だって、そうでもしなきゃ、もう会えないかもしれないじゃない?
《そばにいてね》
ディオンとフェルナンドが《蒼い鷹》入隊して、結構経つ。
毎日、大佐たち相手に銃撃戦やチームプレーの訓練三昧だった。
「あ゛ー、今日も負けたー」
「疲れたー。大佐たち強いよー」
ディオンとフェルナンドは、宿舎に戻るなり二人してソファーにひっくり返った。
『大丈夫? ちょっと待ってて、今タオル持ってくるわ』
人造犬のアッシュが、ぐったりしている二人を見て、強面の顔に心配そうな色をたたえた。
バスルームからタオルを二つくわえて持ってきて、それぞれに渡した。
「ありがとう、アッシュ」
「サンキュー」
受け取って、二人はそれぞれ、まず顔を拭いた。
「わー、インクがベッタリ」
銃撃戦の訓練では、インク入りの銃を使うので、当たればかなり悲惨なことになる。
「うぅ、僕もうだめ」
フェルナンドが力なく言って、ズルズルとソファーに沈んだ。
「あ、お前、そのまま寝るなよ」
今にも寝てしまいそうなフェルナンドを見て、ディオンは慌てて言った。
「んー、わかってるよー」
いつもは午後の数時間だけ訓練で、後は部屋に戻ってフェルナンドの《精煉》の訓練をする。
その後は夕食を食べて、ディオンの言語学の勉強だったのだが、大佐の気紛れで、今日の午後はみっちり訓練になった。
さすがに疲れたらしく、フェルナンドは今にも船を漕ぎそうだ。
「おーい、フェルナンド。寝るな、起きろ。せめてパジャマに着替えてくれ」
呆れ気味に言うと、フェルナンドはのろのろとソファーから起き上がって、ディオンが持ってきてくれたパジャマに着替える。
最初の頃は、疲れすぎて自分で着替えもままならず、無理矢理ディオンが着替えさせていたのだが、ようやく慣れてきたみたいで、自分で着替えてくれるようになった。
『ふふ、ずいぶん疲れてるみたいね』
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