Dragon

□Hot Cappuccino Please.
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ごほっごほっ、へッ…、キシッ、ズズッ






「五月蝿い」




「んなことゴホ言っゴホたっックシ、てゴホッ」






「…」










Hot Cappuccino Please





















朝から眼鏡置きの調子が悪いようだ。ついに部品交換の時か。まあ元々身体ももやしのようにひょろっこく精神も浜辺の砂山のように脆かったためにそんなことは全然気にも止めずに愛娘を磨く手を止めない。
ガユスはというと私に構って欲しいのか薄手の掛布を頭から被り顔だけを出した状態で長椅子に座り先程からぶつぶつ言っている。具合が悪いのなら寝ていればよいものを、まあ私には関係のないことだが。






「あーあたまいたいよー」




頭痛の一つや二ついつもの事であろうが




「へっ…きしっっとこどっこぉおい!!」




ずいぶん男らしいくしゃみだな




「ぎぎなぁコホッ」








…ガユスめそのような甘えた声を出しても無駄だ、私には一切効かない残念だったな…
「コホコホッねぇぎぃなーしんじゃうよー」












「ねぇってばーぎぃなーつらいょー」
















「ぎぃ…」





ドサッ








「ッ!!?」











どうせ私の気を引こうと思っての戯れ事だと思いずっと無視を決め込んでいたが、どうやら本当に辛かったらしい。急に静かになったと思ったら長椅子から落ち、床でうずくまるガユスがいた。


「ガユスっ!!!」


嗚呼こんなに大声を出したのはいつぶりだろうか







「取り合えず水を…」

バタバタと台所にある大型冷蔵庫を開けてみるが目当てのものが見当たらない。

「糞ッ!!!このような時に限って無いとは!!その前に寝台まで運ばなければっ…」





こんなに焦っている私は端から見たらさぞかし滑稽だろう









ゆっくりとガユスを両腕で抱え隣の部屋にある粗末な寝台に易しく降ろすと私もギシリと音を立てて枕元へ腰掛ける。

「ガユス…」


この酷く弱った声は本当に己の声なのか?ガユスの行動で一喜一憂する私は、知る人が見れば驚くだろう。それほど私は焦りを隠せないでいる。ガユスが風邪を引いて倒れただけでこの慌てようだ、もし自分の目の前からいなくなってしまったらどうなってしまうのだろう。考えただけでぞっとする。自分が思っている以上に私はガユスに執着しているらしい。







「ん…」


「起きたか。身体の調子はどうだ、つらくないか」


目を覚ましたガユスに普段からは想像もつかないほど優しく問いかける。そんな私に一瞬目を見開いたが、そのまま問いに答える。



「さっきよりはだいぶ。それよりおなかすいた」


「…待っていろ」



そう言うと仮眠室から台所へ向かう。
先程よりは顔色が良くなったが、まだ熱は高いらしく甘えたは健在のようだ。腹が減ったということは、今日一日眠れば熱も引くだろう。幸い本日は依頼もなく早々に事務所を閉めたために仕事もない。こんな日くらいは休ませてやるか。


さて台所へ来たのはいいが何を食わせればいいのだ。私の場合身体が弱った時には肉を食べると回復するが、ガユスは普段から食が細い為無難に粥が一番か。
ん…?粥は米か?

米は何処にあるのだ、シンクの下か?

なぜ米が硬いのだ。

これを焼けばいいのか?

取り合えず鍋に入れて水を入れれば何とかなるだろう。



…鍋は何処だ?
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