。* 遙かなる時空の中で *。

□気持ちだけで
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「「「誕生日おめでとう!!」」」


橿原宮の一室。一番端に位置するため面倒で足を運んだことのないその部屋を亜希が一息に開けば、うるさいくらいの歓声が聞こえた。


「…………は?」


歓声に耳を塞ぎながら呆然とする那岐に、奥へと駆けていった亜希と入れ替わるように近付いてきた風早が苦笑をもらす。


「那岐のお誕生日会ですよ」

「僕の?」

「うん。亜希がみんなで祝えば楽しいから、って」


そう言いながら食べ物の乗った皿を手渡す千尋。

那岐は皿を受け取り集まってる面々を見渡した。

サザキに無理矢理酒を飲まされている布都彦とサザキの部下。
その横で微笑まし気にしている夕霧と、こくこくと酒を飲む遠夜。
忍人と柊は岩長姫と共に飲み比べをしているようで、それを余興とばかりに眺めるアシュヴィンと付き添うリブ。


僕の誕生日なのにもう飲んでるし、とぼやき、少し離れた場所に、カリガネと盛り付けをしている亜希を見つけた。
せっせと盛り付けをする姿に苦笑が漏れる。


「本当、お節介だよね」


那岐の視線に気付いたのか、カリガネに何かを告げ、こっちに駆けてくる。






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