。* 遙かなる時空の中で *。

□桜吹雪
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「……桜?」
『ふふ、綺麗でしょう?』


桜の木に触れ、無邪気な笑顔を向けてくる。


「姫、もしや弓の練習と申されたのは…」


あっ、と小さくもらした後、苦笑しながら両手を顔の前で合わせた。


『ごめんなさい。ただ、桜を見たかったの』


「そうでしたか。しかし、何故私なのですか?」


昨日来た那岐と遠夜と共に来てもいいのではないか。
どうやら昨日は今日と違い満開ではなかったように見える。今日来れば二人も美しい満開の桜を見ることができるだろう。


思考を巡らせる横で、姫が渋面をつくる。


「…姫?」
『布都彦って生真面目だよね』
「はい?」


『私が布都彦と一緒に見たかったから、だから練習を見てなんて嘘をついたの』


那岐でも、遠夜でもなく、布都彦と。
姫は透き通るように蒼い双眸で私を見つめる。






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