。* 遙かなる時空の中で *。
□valentine day
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『女の子たちからー』
朝。
風早と千尋、那岐そして亜希は食卓を囲んでいた。
もぐもぐと卵焼きをしっかりと噛んで飲み込み、亜希はぶつぶつと何やら言いだした。
意味がわからず首を傾げる風早と千尋だったが、どうやら那岐は理解したらしく箸をすすめる。
『チョコほしいー』
「あんた、自分が女って自覚ある?」
早々に食事を終えた那岐が食器を手に立ち上がりながら溜め息まじりに呟いた。
『生物学上、一応女です』
「なら普通は逆だよね」
那岐が言うのも無理ない。
今日は2月14日。
つまりバレンタインだ。
数日前から街に行けば店頭に並ぶ多種のチョコが甘い香りをただよわせていた。
亜希もその香りにつられ、あげるよりも、貰いたいと思うようになったらしい。
「亜希、私があげるよ」
『ほんとっ!?』
「でも学校から帰ってきてからね」
笑顔の千尋に何度も首を縦に振る亜希。
その顔は満面の笑顔。
「二人共、遅れてしまいますよ」
いつの間にか席を立ち那岐と玄関に立っていた風早の言葉に二人は慌てて玄関を飛び出した。
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