。* 遙かなる時空の中で *。
□境界線
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ぽかぽかと体を包む太陽の光。
お昼を食べた後の午後の授業。
当然、知らずと睡魔が押し寄せてくる。
時折ペンがノート上を彷徨うが、何とか読める文字で板書する。
家に帰ったら写し直した方がいいかな、と思いつつ教室内を見回す。
窓際の最後尾の席だけあって、顔をあげるだけで皆の様子がわかる。
約半数が寝ているようだ。特に男子が多いように思える。
ああ。那岐くんなんて机に堂々と突っ伏して寝てる。
『ねむ』
思わず口をついて出た言葉に慌ててみるが、目の前には先生の姿。
「亜希さんは素直ですね」
微笑を浮かべて言外に注意するのは風早先生。
気のせいかな?
一部の女子の視線が痛いんですけど?
『素直でごめんなさい。ということで、』
ぐでんと両腕を机に投げ出す。
『寝ます』
見ただけで寝てるとわかる人を注意しないなら私だって厳しく注意されないはずだ、と目を閉じた。
それでも感じる風早先生の苦笑する仕草。それと女子の視線。
あえて無視をきめこむことにする。
*