。* 遙かなる時空の中で *。
□桜吹雪
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『布都彦、弓の練習をしたいから見てくれない?』
姫からそう言われたのは数刻前のこと。
人に教えることで、自分の復習にもなるので姫の練習を見ることにしたのだ。だが、
「姫?こちらは気多への道とは違うようですが」
そう。私の数歩先を行く姫が向かっている方角は、普段練習場所としている気多への道ではない。
『あのね、良い穴場を見つけたの』
昨日、那岐と遠夜と散歩をしていて見つけたんだよ、と嬉しそうに笑う。
その笑顔につられ微笑み返すと、青葉が敷きつめられた中に、ほんのりと桃色に染まった花をつける木が一本、凛と立っているのが少し遠くに見えた。
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