DRRR

□「背中合わせの君」
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…トンっ

一瞬触れ合った背中。


「もぅ、息上がってんの?」
「ハッ、誰が」
触れ合う背中から伝わる情報は少ないハズなのに…

「お前だって、足元ふらついてんじゃねーか」
「足場が悪いだけだよ」
全てを見透かした様に、感じる。




だからこそ、
この状況下でも互いに軽口を言えるのだ。



「「じゃ、サッサと終わらせるか」」


その言葉と共に、触れ合った背が離れまた逆方向へと駆け出す。






どこのバカか知らないけれど、

気づけば、オレ達の《遊び》に水を差したバカな群集。

数で何とかするつもりだった様で思った以上に多い。

だから、
オレ達は、

言葉も交わさず、
気づけは、共同戦線を貼った。


振り回される、道路標識。
オレと対峙するバカに向かいスイングされる。
そのタイミングを綺麗に見切り横薙ぎの標識をまるで縄跳びでもするかのように上へ跳び回避。
避けてよろけたバカの上に着地し、とりあえずバカを黙らせる。


「シズちゃん」
「あ?」

不意に名を呼んだら、抗戦中にも関わらず、こちらを振り返える。


「こんなのに、ヤられないでよ」

そう言ったら、シズちゃんは唇の端だけ持ち上げるように笑い…。

「テメェもな」



「「君・テメェを殺すのはオレだから」」






そう、オレ達は2人共


正反対。


だからこそ、


一番近くて、


一番遠い、






だからこそ、


殺し合う。


殺し合う事が


――それが、オレ達のアイのカタチ。

end
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