DRRR
□kiss me,please!!
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目の前の黒。
新宿を生業とした、情報屋、折原臨也。
以前は、ここ池袋に居たが、ふざけた事をオレにしくさって、自分はサッサと新宿へと姿を消した。
オレとは、そのしがらみも有り、周知が知る犬猿の中だ。
ただ、それは外側からの主観。
―いや、9割事実だが。
しかし、極一部の人間には、オレ達の関係がもう一つあるのを知って居る。
…恋人。
それは些か、オレ達に不似合いな言葉だが、一番簡潔に言い表すならそれだ。
しかし、冒頭に戻るが、此処は池袋でも人通りの多い通りで、真っ昼間だ。
いつもならば、喧嘩しか繰り広げ無い時間だ。
これ以上、日頃は周知の目など微塵も気にしないが、今は些か状況が違う。
言葉を紡ぐよりも先に、目の前の細すぎる腕を掴むと、既に出来上がっていた野次馬を掻き分けるように、その場を後にした。
半ば、引き摺るように臨也を連れて、人目の無い裏路地へと入り込む。
「た…っく、何だってんだ」
人目が無いのを確認し、引き摺って来た腕を放し、臨也に向き合う。
先程までの様に、一方的な言い様は無く、ただ静かにジィっと見上げてくるだけ。
「…キス、して」
ポツンと、先程までと同じ言葉を切に落とす。
「…。」
何を言っても話が、進まないと気づく。
けれど、コレが折原臨也だと頭の中では嫌と云う程理解してる己が居て、
仕方ないと、半ば諦めて居る己も理解している。