DRRR
□「キライキライもスキのウチ」
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「シズちゃんなんて、大っっ嫌い」
「シズちゃんなんて、死ねばいいのにっ」
それは、何時もの常套句。
そう、挨拶みたいなモノ。
なのに、その言葉を音にする度。
ツキリ、と何が胸を刺す。
今日も、池袋に有り得ない物が飛ぶ。
ガシャン、バリンと不快な音と、怒号と罵声。
「イーザーヤァー」
地底から、地響きのように…
呻く用に、身軽な黒の名を呼ぶ。
「あっは、相変わらず、シズちゃんは非常識だよねっ」
飛んで来る飛来物を軽く交わして、
軽口を叩く臨也。
けれど、今日は何かが違った。
「シズちゃんなんて、嫌いっ…大嫌いっだ、から…、だから、さっさと死んでっ」
一瞬、まるで折原臨也の姿を模した別人かと思う程、歪んだ表情と絞り出す様な声。
(…?!)
一瞬垣間見た姿。
けれど、それを確認する事は、自分が投げた自販機の影に隠れて…出来なかった。
「イザヤっ?!」
それでも、その姿を確認しようと、転がった飛来物を飛び越えた時には、
…臨也の姿は、
そこに、無かった。