四聖の騎士

□第一章 期待の騎士団長誕生。敗北から勝利への系譜
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☆第一話 競え!新入生勧誘争奪戦























ただ、心は闇の中。深く、深く、黒い。

和紙に墨汁をこぼした色に近い。

暗い、暗い、暗い。

真っ暗闇。

どれだけ太陽に照らされた所でこの闇は晴れはしない。

墨汁がこぼされた和紙の色が戻らないのと同じで、絶対に白くなりはしない。

止めろ、止めろ、止めろ!

見覚えのある庭。

豪華な庭。贅沢の限りを尽くした庭。

よく知ってる庭。

その庭に1人の少年がたっている。

黒いモノを両手に握りしめてたっている。

周りには無残に散っていった木で出来た人型の的が転がっている。

ただ、無表情に無感情に佇む。

1人の少女が少年の視界に入った。

少女は少年に近づいてきた。

黒髪と着物を着た少女。

2人はお互いを見つめ合った。

2人ともまだ小学生になるかならないかの外見だった。

だがお互い無表情で無感情でまるで無機質のロボットや人形のようだ。

少女は少年の持っているモノに疑問を示したようだ。

ジッと黒いモノを見つめている。

「それは何?」

まるで人形のように表情を変えずに、感情のこもらない声で少年に問う。

「これはね。人を殺すための道具だよ」

少年は言葉使いは子供なのに感情のこもってない発音で答える。

「人を殺す?」

「そう……この引き金を引けば誰かを殺せる道具」

少女は無表情に少年をみつめる。

「殺すって何?」

「……人を永眠に動けなくする事」

そう少年が言うと少女は少年の瞳を見つめた。

少年はただ、少女の瞳を見つめ返す。

「ねぇ」

「なに?」

「それで、私も殺せる?」

感情のこもらない一言に少年の眉間にシワがよるがすぐに元の無表情に戻った。

「君死にたいの?」

「よくわからない」

少年は少女を見て黒いモノを額にあてる。

「死にたいなら殺してあげる」

少年は無表情でそう言い放つ。

少女もただ人形みたいにその場に佇む。

「僕が君を殺す前に一つだけ教えて」

「……何」

「君は誰?」

「凜那……白虎凜那」

「そう……さようなら凜那」

止めろ!止めろ!止めろ!止めろーーー!!

そして、少年は引き金を引いた。

爆音が当たりにこだました。

そして……辺りは真っ赤に染まった。
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