Sprint!!

□E
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「じゃあ、このファイルをマルコに届けにきたのか」


ヴェルディからマルコに渡して欲しいと言われたファイルを手に取り中を見ると、大会の抽選会の知らせやら何やら入っていた

ヴェルディはおれにファイルを託して帰ろうとしていたが、折角だからと引き留めた


「あ、紹介遅れたけど、ウチのマネージャー」

「ヴェルディです」


ペコッと会釈をするヴェルディの姿に思わず頬が緩んだ


「スカート短ぇぞ!」


突然声を荒げたパウリーはハレンチだ!と連呼しながら顔を赤らめた


「……、短いですかね?」

「おれは見慣れたからなんとも。でも短い方がヴェルディらしいぞ!」


そう言って親指立てて突き出すと、なんですかそれ、って笑われた

それが何だか嬉しくて、つられておれも笑う

そろそろパウリーのハレンチだ発言がウザくなってきたな

そう思ったと同時に、教室のドアが開いて缶の飲み物を5つ抱えたマルコが帰ってきた


「何してんだよい、ヴェルディ」

「シャンクス先生のお使いで来たんですけど、エース先輩たちとお話ししてました」

「遅いぞマルコ」

「お前がグー出さなきゃ今のおれの立場にお前がいたんだぞエース。それより、ヴェルディが来るなら飲み物6つ買ってくるべきだったよい」

「あ、お気になさらず。突然来た私も悪いんで」


ピッと片手を上げてマルコを制止するヴェルディに、“そうかよい”って滅多に見せない笑顔で頭をくしゃくしゃに撫でた


「で、シャンクスから預かった書類は?」

「エース先輩に渡しました」

「ほら」


フリスビーみたいにファイルを投げて渡すと、見事キャッチをした

プリントに一通り目を通すと、またファイルに戻して深い溜め息を一つ

そしておれたちに向き直った


「で、課題は進んだのかよい」

「「あ……」」

「先輩たち課題やってたんですか…」


ハモったのはおれとカクとパウリー

マルコはまた深い溜め息をついたし、ルッチは呆れた顔をした


「じゃあ私は邪魔しないためにも帰りますね」

「ちょい待ち、ヴェルディ。もう少し話そうぜ?」

「まぁ、たしかに課題なら寮に戻ってもできるからな。もう少しいたらどうだよい」

「まぁ、先輩たちがそう言うなら」

「じゃあ決まりだな」

「ヴェルディこっち来なー」


手招きをすると、素直に歩いてくるヴェルディ

クールな外見に似合わず素直で可愛い

自分の隣にイスを用意すると、そこに何の躊躇いもなく座った

おれはそれを見て満足したから、マルコが買ってきた飲み物に手を伸ばした

パウリーとルッチにいたってはもう開けて飲んでやがる


「あ、よ、良かったらコレ…!」


変に上擦ったカクの声が聞こえてその方向を見てみれば、カクはマルコが買ってきた自分の分の飲み物をヴェルディに渡していた


「でも、これ貰ったら先輩の分が…」

「わ、ワシのは良いんじゃ!自分で持ってきたのがまだあるからの」

「…じゃあ、お言葉に甘えて」


そう言ってカクの持つ缶に手を伸ばしたら、カクの指にヴェルディの指が少しぶつかった

途端にカクは缶から手を離してそのまま引っ込めた

もちろん、缶は床に落下

炭酸じゃなくて良かったな


「Σす、すまん!」

「私は大丈夫ですよ」

「カク。てめぇ顔真っ赤だぞ」

「茹蛸みてぇだな!」

「うるさいわい!!」


いつもみたいにパウリーと一緒にカクをからかうと、今以上に顔を赤くした

ますます茹蛸みてぇだ


「騒がしいクラスで悪いな」

「いえ、多分私たちの方が騒がしいと思いますよ。ルーキーの溜まりだし。それはそうと、」


マルコとの会話の途中で、ヴェルディはごそごそとカバンをあさり始めた

出てきたのは可愛く包装された飴玉だった


「これからお世話になるであろう先輩方に飴ちゃんのプレゼントを」


そう言っておれたちの手に飴玉を2つずつ置いていった(律儀にハットリにまであげてやがる)


「はい、どうぞ」


そして最後に回ってきたカクの手の平には飴玉が4つ

おれたちは勿論、カクも不思議そうな表情だ


「先輩は飲み物をくれたので」


そう言ってヴェルディはカクに満面の笑みを向けた

カクはまた顔を真っ赤になった

この一連の動作からわかることといえば、




カクの好きなヤツは間違いなくヴェルディだ




それから動きがぎくしゃくするカクはあえてスルーして下校時間までずっと話していた










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