Sprint!!
□E
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さて、6時間目も終わって放課後
普段なら部活に行くとこだけど、ドレーク先生曰く今日は教科研究会やらなんやらで校内中の先生たちがいないらしく、部活は全て休みらしい
だから部活で渡せない変わりに放課後渡さなきゃいけないのか…
帰りのSHRが終われば、部活がないからと教室中はどんちゃん騒ぎ
「ヴェルディどっかでかけねぇか?」
持ち帰るノートをカバンに突っ込んでると、キッドから遊びのお誘いがきた
背もたれに腕くんで、イスを跨いで後ろを振り返ってる
そんなキッドの頭にちぎった消しゴムが乗っているから取ってあげた
犯人は絶対ロー
「ごめん。シャンクス先生にお使い頼まれてるんだ」
「部活ねぇのにか?」
「いや、部活ないから。マルコ先輩に届けるの。まぁ、課題もやんなきゃいけないし」
今日は部活がないからって先生たちは容赦なく課題を叩きつけてきた
もちろん、それは私だけじゃないのだがキッドたちは遊びに行くのか
「後で写させろっていうのはナシね」
「ひでぇな」
そう良いながらも、キッドのことだからちゃんと課題やるんだろうなー…
見た目に反して真面目だし
「また今度誘ってね」
「おう」
片手を上げて返事を返してくれたキッドに手を振り返して、机の中のファイルをひっ掴んで3年A組の教室へ向かった
――Ace's side
「はぁ……」
「だぁー!カクてめぇいい加減溜め息つくの止めやがれ!!」
「五月蝿いパウリー!貴様なんかにワシの恋心がわかってたまるか!!」
「これは重傷だッポー」
今日は部活もねぇし、授業で配られたプリントをクラスメイトたちと終わらせるべく、おれたちはいつも戯れてる5人で教室に残っていた
意外に真面目だろ?
クラスのほとんどのヤツらは部活がないからと浮かれて遊びに出やがった
おれも行きたいところだが、どうせなら後でマルコに宿題見せろとかせがむよりは今やった方が早いから今こうやって教室に残ってる
ちなみに、マルコはじゃんけん負けたから飲み物買いに行った
今は勉強するために集まってる
そのはずが、いつの間にかカクの溜め息からカクの恋愛相談に移り変わった
「いい加減誰なのか教えやがれ!」
「嫌じゃ!教えたら絶対お前たちも惚れるに決まっておる!!だから教えん!」
パウリーがカクに突っ掛かるのは日常茶飯事だからスルーして、一人黙々と課題を進めるルッチに問い掛けた
「ルッチは知ってんのか?」
「何をだ?クルックー」
「おもしれぇけど、腹話術やめろって」
相変わらずのルッチに思わず笑って、肩に乗ったハトのハットリも首を傾げるからまた笑った
「何をって、カクの好きなヤツ」
「知らないッポー」
んー、カクとは付き合いの長いルッチも知らないとなれば知ってる人はカク本人しかいなさそうだ
パウリーとカクがじゃれるのに疲れた頃、おれたちの教室のドアが控えめにノックされた
「おれ出てくるわ」
そう言ってカクから離れてドアに向かうパウリーをおれはじっと見ていた
が、パウリーがドアを開ける前に向こう側から開けやがってパウリーはドアの真ん前でつんのめった
ドアが開いたと同時に聞こえたのは、男だらけのこの教室には不釣り合いな凜と通る女の声だった
しかも、おれはその声の主を知っている
「1年A組のヴェルディですけど、マルコ先輩いらっしゃいますか?」
「お、ヴェルディじゃねーか!マルコなら今いねぇぞ」
「エース先輩こんにちは」
パウリーに隠れておれが見えなかったのか、目の前に立ったパウリーの脇腹辺りからヴェルディがひょっこり顔を出した
手を振ってやると、少し控えめな笑顔で手を振り返してくれた
それと同時に、隣でガタンと派手な音を立てて何かが落ちた
「ヴェルディ、ちゃん…、じゃと?」
乗っかっていた机の上から落ちたらしいカクか驚愕の表情でヴェルディを見ていた
とりあえず、ずっと廊下に立たせたままにするわけにもいかねぇから教室に招き入れた
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